ライディングポジション

BMWのバイクの中にはライディングポジションを変える機構をもつ車種がいくつかあります。僕のR1100RSもその一つです。というよりも、可変ポジションを装備した最初のBMWバイクです。ハンドルバーの前後位置と絞り角度、それにシート高が可変式になっています。
ハンドルバーの方は、バーの取り付け部分が溝付きレールのようになっていて、バー本体を裏から止めているボルトを緩めて前後と絞りを調整します。前後の調整幅は、身長170cm以上ある人なら一番遠い位置でもまだ「近い」と感じるかもしれないほどコンパクトです。身長162cmで腕の短い僕でも、一番手前に持ってくると背中はほとんど直立します。急加速時や峠を攻めるにはちょっとハンドルが近い気もしますが、長距離での疲労軽減を最優先にしています。絞りも3段階から選択でき、僕は一番内側に絞り込んでいます。
シートの方は、車体側の差込部分に段差があって、780,800,820mmの3段階から選択可能になっています。変更作業はシートを一旦外してはめ直すだけです。慣れれば十数秒で終わるほどの簡単さです。

ハンドルはボルト固定なので、さすがに出先でおいそれと変える気にはなりません。でもシート高は簡単に変えられますので、条件に応じてこまめに変えるべきです。例えば高速道路を延々と走る場合なら一番上で膝の負担を軽減し、都内のようにしょっちゅう信号待ちするような場所では一番下で足つき性を確保します。普通は中間で十分です。800mmというと相当の高さに思えるかもしれませんが、僕のRSに限らずBMWのバイクはリバウンドストロークが非常に大きく、シートに跨ったときにリアサスがかなり沈み込みます。例えばサンダーキャットのシート高は805mmですが、RSと乗り比べると、5mmどころではない差を感じます。その反面、バイクを降りるとリアサスが思い切り伸びるので、車体が大きく傾きます。これがサイドスタンドの短さを感じる理由になります。

使ってみて実感することですが、シートを高目に設定できることはロングツーリングで非常にありがたいことです。乗り始める前は「中間と下しか使わないだろう」と思っていましたが、今では高速道路で1時間以上移動する場合、料金所で必ずシート高を上げるようにしているほどです。このあたり、国産車にもぜひ見習って欲しいものです。僕もRSを手に入れる前まではヤマハのFJRという選択肢を考えたことがありましたが、もう「シートが高いだけのバイクは要らない」と思うようになってしまいました。
ただ、走り続けた後で現在のシート高を忘れていることがあります。休憩・給油で足を着く時は要注意です。

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