続・友人の結婚によせて

6月下旬の日曜日、彼の結婚式並びに披露宴に出席した。僕は前日、わざわざバイクで400キロも離れた会場まで乗り付けた。その日の夜は久しぶりに会った友人達と飲み歌い騒ぎ、会場でもあるホテルで一泊。披露宴は翌日の午後からだったが、僕はバイクで来ていたし、その日の内に帰る予定だったので酒を全く飲めなかった。実は今のところ医者から酒を止められていて、ここ2週間ほどほとんどノンアルコールビールで過ごしていたので思ったよりも酒を飲まないことが辛くはなかった。

何人もの方々がスピーチをされた中、印象に残ったのは「出会いは運命」という言葉尻だった。運命...僕は今のところ伴侶を得るための努力を放棄しているが、「運命」といわれるとなおさらそのために労力を割くのが馬鹿らしく思える。
僕は賭け事・勝負事が大嫌いである。パチンコ・マージャン・競輪・競馬・競艇・カジノその他諸々の賭け事に決して手を出さない。自転車でもバイクでも、スピードを出すのは好きだが他人と競争するのは好きではない。自分が勝てる相手にしか勝負を仕掛けないし、相手が知らない勝てる方法を自分が知っている時だけ賭け事らしきことをする。貸し借りなし、見返りなし、恨みっこなしの「遊び」なら許せる。
要するに「運」という不確定要素に左右されることを受け入れられない人間なのだ。だから「結婚」という、自分では決して制御することのできず、してもいけない赤の他人と一緒に生活することなど、とうてい考えられない。

彼の表情は緊張気味ではあったが、態度・言葉遣いは堂々たるものだった。俺はイイ女を手に入れたぞ! そう言いたげにも映ったのは僕が慢性女日照りだからだろうか。それにしても何かのキャンペーンガールを務めていたというだけあって、ホントにキレイな女性だった。そのせいか、どことなく気が強そうにも見えた。ありゃぁそのうち尻に敷かれるぞ...そう思ったのは僕の僻み(ヒガミ)根性のせいだろう。
6時間かけて帰ったその日、僕は一週間振りに自分でビールを買って飲んだ。医者に止められているのに、翌日仕事があるのに飲んだ。酒を飲み、自分が撮った写真を眺めながら、「行くんじゃなかった...」と思ったのは昼と夜の薬を飲み忘れていたせいだったのだろう。ただ一つだけ確信したのは、僕が「運命」を信じることが出来る日はまだ当分来そうにない、それだけ。

遅ればせながら、今ようやく心から祝福の言葉を贈ろう。月並みで申し訳ないけれど、今の僕にはこれが精一杯。どうか笑って許して欲しい。ご結婚おめでとう。いつまでも二人お幸せに。

2003/6/24