雨の日に思うこと

昼前から降り出した雨はその後も雨脚を強めることなく、午後三時を過ぎた今も 降り続いているように見えた。少なくとも7階の窓から見下ろした駐車場に入る 車を見ているとワイパーが時折動くのが見え、その動作間隔からも、大して強く 降っているわけではないことが窺い知れる。

おとといの金曜日、会社で飲み会があった。例によって例のごとく、僕は朝まで 飲み明かして、まだ薄暗い中を始発電車で帰ってきた。そして昨日、土曜日は 昼過ぎまで寝ていた。こんな日は、毎度の事ながらものすごく時間を損した 気分になる。のそのそと起き出してバイクのエンジンをかけ、ふらつきながら 家を出てゆく。行き先は決めていないが、とりあえず碧南の方へ足を向けてみた。安城市内を抜ける県道は相変わらず混雑していた。信号待ちのたびに車が長い 列を作り、僕はその脇をすり抜けて前に出る。その繰り返しを数回繰り返してやっと 空いた道路に出る。しばらく道なりに進み、碧南市街地中心部を少し過ぎたところで大きな 国道をまたぐ橋に差し掛かる。その橋を渡らないで左に折れ、国道に合流して数百メートルの場所に 小さな水族館がある。距離は家から30キロ弱だろうか。料金が大人520円と 手ごろなので、どこかへいきそびれた日の午後に時々訪れるのだ。この日はアメリカのなんとかという姉妹都市の特別展示期間中だったようで、なにやらごちゃごちゃしていた。そんな中、オオカミウオ(Wolf Eel)の幼魚が見られたのはうれしかった。

今日は昼前からトヨタ国中心部から二駅はなれた工場内にいる。午前中の1時間半ほどボンヤリ過ごし、昼になって外へ食事に出かけた。近く、とはいってもバイクで数分離れたラーメン屋は満席。その真正面にあるコンビニで立ち読みしながら席が空くのを見計らい、10分位待ったところでついにあきらめて店内に入った。丁度入れ替わりにカウンター席を占めていた親子連れが席を立ち、なんとか席に付くことが出来た。そして食事が終わる頃に雨が降り出した。昨日の天気予報では「宵のうち雨」といっていたはずだが、「宵」って何時ごろだっけ? そんなことを考えながら工場に戻った。そして今に至る。


何も面白くない。何も楽しくない。仕事をしていても、バイクで走っていても、酒を飲んでいても、カラオケで歌っていても、コンビニで立ち読みしていても、ラーメンを食べていながらも、ギターを爪弾きながらも、スーパー銭湯の大浴槽のぬるま湯でくつろいでいても、Webでエロサイトを覗いたりしながらも。時々、事に当たって何一つ楽しんでいない自分を発見して鬱になる。他人と話しながら「いい人」を演じようとしている自分を内面から見つめている自分がいて、外面(ソトヅラ)の自分が時々その視線を感じて鬱になる。バイクで高速道路を爆走しながらも、パトカーっぽい車を見つけて速度を落とす自分が嫌になる。何をビクついているの? 何を失うというの? そんなにビクつくのなら最初っからバイクに乗らなければいいのよ。高いロードレーサー買ったんだから、それに乗って汗流して体鍛えればいいじゃないの。でも...できない。

今日も雨が降ることがわかっていたはずなのに、バイクで来てしまった。もちろん、備えがないわけじゃなくて雨合羽とちょっとした防水機能があるグローブをシートバッグに放り込んである。でも使わないに越したことはない。問題は雨合羽を持っているか否かということじゃなくて、正しい選択肢は「電車で来る」だったということ。正しい選択肢は常に1つか2つしかないものなのだが、僕という人間は常にそうじゃない方を選びたくなる。例えば今の仕事場から名古屋に出る経路ひとつをとってみても、普通ならタクシーで土橋まで、そこから名鉄で知立乗り換え、特急で名古屋となるのだが、僕は名鉄トヨタ線回りの地下鉄経由でノンビリと出かけることが多い。なぜなら座れるからだ。時間? そんなモン関係ねぇ。俺は行きたいようにしか行かない。

2003/01/xx