雨の日に思うこと(5)

どこかに行きたいというのに雨が降っている。いや、正確には「どこかに行きたい」のではなくて「ここにいたくない」のだが、雨が立ち上がる力を奪い取る。
出かける手段が無いわけではない。九州地方のどこぞのように、地理的に孤立させられているわけではない。自家用車こそ持ち合わせていないけれど、雨合羽を着れば自転車にもバイクにも乗れるし、傘をさして歩けば十数分で駅に着く。それなのに体が動かない。動きたくないと心の底で何かがつぶやいている。

雨の日にバイクで走るのは、元々嫌いではない。昨日だってそうした。ただ合羽を着たところで雨が上がってしまったけれど。だから問題なのは雨が降っていることではない。
どこかに行きたい、という気持ちがないのは辛い。ここにいたくないだけでは体が動かせない。理性が無目的で雨の中に飛び出すことを拒否している。昨日は2時間という制約を自分に課して山の中を走り回った。それはそれで楽しかった。けれど今日はそれを望んでいない。
誰か、誰でもいい、俺をどこか遠くへ運んでくれ。心がそうつぶやいている。叫ぶほどの力は残っていないようだ。だから雨が止んだからといって「ではあそこへ行こう」とはならない。止んだら止んだで「ああ、雨が降れば休めるのに」と思う。
起きる事象が何であれ、それを受け入れられないのだろう。むしろ積極的に拒絶することで何かを楽しんでいる節がある。どうなっているのだ、俺の脳味噌は?薬のせいなのか?

色々考えたり考えなかったりするうちに、時計は11時を回ろうとしている。今から外出したら昼食の時間が中途半端になるので、とりあえずあと1時間なんとか時間を潰して、茶碗一杯分のご飯を片付けてから考え直すことにしよう。

2007/7/13