インプレッション11

2011/8/25
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インプレッション11

おそらく日本で唯一の、R100RTの現在進行形インプレッションをお届けします。(^_^;)

最終回

形ある物は全て壊れる。残念ながら、R100RTにもその時が訪れようとしています。


2011年7月8日、いつものように整備に出しました。詳しい整備メニューはメンテナンスレコードを参照して頂きたいのですが、エンジンからいつもより大きなバルブ打音がしていたのでチェックして欲しいとお願いしました。


嫌な予感は見事に当たっていました。


ディーラーメカ殿によると、バルブクリアランスを調整しようとしたが間隔が一定にならず(クランクを回すたびに異なる)、カム山かバルブリフターが破損している可能性が非常に高いとのこと。どちらが破損しているにしてもシリンダーを外さなければ確認できませんし、RTはカウル着脱の工賃も余分にかさみます。

1995年初年度登録という年式の古さ、走行距離20万キロオーバーという現状、そしてなにより三中里予の走行ペースでは、今ここを直しても他の部分が必ず壊れる。悪いことは言わないから乗り換えたほうがよい。当面は硬めのエンジンオイルを入れて症状を緩和する応急処置を施してはあるが、もう遠出はしないほうがよい...


いつかこうなるとは思っていましたが、去年の夏前に前後ホイールを交換したばかりというのもあって、直すか捨てるか、さすがに迷いました。しかしその後何度か近場を走らせるうち、ドライブシャフトのダンパーが明らかにヘタっていることに気が付きました。

仮にバルブリフターの交換だけで済んだとしても、じきにカムシャフトが壊れる。ドライブシャフトもそのうち折れる。折れないにしても非常に乗り辛くなる。これらを全部交換したら数十万円かかる。電装系、特にメインハーネスの経年劣化が激しい。エンジン内部の電気部品、オルタネータやダイオードボードもそろそろ危ない。ミッションのリターンスプリングは定期的(約5万キロ毎)に必ず折れる。さらにメーカーの部品在庫がそろそろ尽き始めているという事実。たとえばR100RS/RTのウィンカーは少し前に廃番になってしまったそうです。


自分が欲しいのは旅の足であって旧車趣味ではありません。心残りはありますが、潔く修理を断念することにしました。


2005年10月以来、足掛け6年。走行距離20万キロ、うち三中里予15万キロ。三中里予のバイクライフではこれまでで最長期間・最長距離となります。

南は鹿児島県から北は北海道まで、本当によく走ってくれました。未舗装の林道にも時々入り込んでいましたし、川を渡ったこともあります。少々の雨でも頭から爪先まで濡れない巨大なフルカウルにはいつも助けられました。徹底した防風性能、装備重量230キログラムという軽さ、そして白バイのように安楽な乗車姿勢。これがR100RTの真価だったと思います。高速道路で現在の車の流れに付いていくのが若干辛いという他には、本当に欠点のないバイクでした。


1990年代後半以降のBWMを含むどのバイクメーカーのラインナップを見渡しても、これほど軽量かつ快適なツーリングバイクは存在しません。まさに唯一無二の存在でした。日本ではそのスタイルからか非常に不人気だったようですが、そんなレアなバイクに巡りあえたことは感謝に値します。


全国を探せば中古車はまだ存在するようです。このページを打ち込んでいる現在、ネットで検索すると北関東のBMWディーラーに少なくとも2台の在庫がありました。うち一台は、実は自分の乗換え候補でしたが...

多少古くてもいいから一般道メインで軽くて安楽なツーリングバイクが欲しいという方がおられましたら、ぜひご検討くださいませ。


RTといえば現行機種もそうですが、標準装備されているパニアケースは必須アイテムです。ツーリングの帰り道にスーパーに立ち寄り、晩飯やビール6缶パック、はては米袋までも買って帰ろうかという気になるバイクはそれほど多くないと思います。この実用性の高さも魅力のひとつに数えられるでしょう。


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