インプレッション

2022/9/13
R1250RT その2
初ツーリング中のひとこま。クリックすると大きな画像を表示します。

とりあえずのインプレ

購入に至った経緯をダラダラと書いてみる

前のR1200RTはとてもいいバイクでした。乗車姿勢は安楽、冬でもあまり寒くない、エンジンだけは頑丈で故障しない、何よりとにかく燃費がいい。ディーラー営業さんやメカニックさんが「乗り換えを積極的に勧める理由を探すのが難しい」とぼやくのを何度も聞いた覚えがあります。しかし去年あたりからなんとなく足回りや電装系に不安を感じるようになっていました。

去年と今年の夏の賞与が思ったより多く貰えたので、まずは大修理を考えて結構無茶な見積をお願いしたところ、新車が買えそうな値段になることが判明しました。詳しくはR1200RTの最後の記事をお読みいただければと思います。

大修理は一旦措いといて、では次に乗り換えるべきバイクは何かという問題が立ちはだかります。ここ十数年のBMW生活で堕落しきった三中里予にとって、次に挙げる項目は絶対に譲れない必須条件と化していました。

これに一般的な必須条件である「自分の体力で扱える範囲」と予算とを加味すると、つまるところR1200RTの後継機種の中古車しかないということです。


乗り換えたいが、直接の後継機種である水冷R1200RTの中古車はいつ出てくるかわからない(実は先年ABS修理を決めた直後に出てきていた)。その間に大物部品が壊れたら直すしかない。いったん直してしまったら最後、きっとエンジンかフレームが壊れるまで直し続けてしまう。だから他店から回してもらってでもいいから早いところいいのを探して頂戴というこれまた無茶振りをしたところ、本当に他店から2台のRTを紹介してもらえました。

1台は待ち望んでいた水冷R1200RT。2015年度登録で価格は新車の半額未満。距離は少々延びているが程度はそれなり。オプションは頑丈なエンジンガードとトップケース。

もう1台がこのR1250RT。2019年度登録で価格は前のR1200RTより若干安い程度。距離は8千キロ、程度極上。オプション特になし。

前者即決かと思いましたが、あれこれ考えた結果、ネックになったのは年式でした。2015年度登録ということは、3年後には早くも10年モノに、つまり前のR1200RTと同じ状況になる。もはや古い車を直して大切に乗るどころか内燃機関と決別しようかという時代にあって、それほど思い入れもない古いバイクに手を出す積極的な理由がどうしても見つけられませんでした。ある意味で消去法的に決まった次第であります。


最後の障壁は車重でした。2台のいずれを選ぶにせよ、とにかく正確な情報が見つけられない。BMW日本法人のページには290kgとあるが、海外のサイトには279kgとある。前のR1200RTはWebサイトに259kgとあったが車検証記載値は280kg。最終的にアメリカの割とメジャーな二輪情報サイトで「両サイドに空のパニアを付けて実測637ポンド(約288.9kg)」という記事を見つけてようやく納得しました。

おそらく「燃料満タン・パニアなしで279kg、パニア片方5.5kg×左右2個でプラス11kg。Webサイトの記載値はパニア標準装備の国=日本では290kg、それ以外では279kg」というのが一番近いと思います。ちなみに車検証記載値は290kg、前のR1200RTの10kg増しでした。

最終的にはディーラーにあった最新型のR1250RTで取り回しを確認して、これなら大丈夫という確信を得たうえで契約に至りました。

乗ってみた感想を適当に書いてみる

前のR1200RTと比べて一番の違いは「色」です。というボケは措いといて、まずはクラッチ形式が乾式単板から湿式多板になったことの違いを否応なしに感じさせられました。エンストを恐れて恐る恐る繋ごうとすると、繋がる感覚がわからないのでいつまでたっても前に進まない。ようやく繋がったかと思うと、スロットルをかなり派手目に回さないとやはり前に出ていかない。と思ったらタイムラグで突然力が湧き出してくる。鈍重なのかピーキーなのか、よくわからない…

渋滞路でしばらくストップ&ゴーを繰り返すうち、「スロットルを適当に開けて割と回し気味にして、あまり考えないでクラッチをポンと繋ぐ」というズボラな発進の仕方が似合っていることがわかってきました。今までの経験ではクラッチが急に繋がってウイリーするんじゃないかという状況でも、クラッチを自動的に滑らせて車体の挙動を抑え込む感じです。そういえば「シフトアシスト」という便利なのかおせっかいなのかよくわからない機構が付いているというのを思い出しました。

発進よりも止まる方がズボラにできる。スロットルを完全に戻してクラッチを操作しないでシフトペダルだけを踏み込んでいくと、勝手にエンジン回転数を上げて合わせてくれる。なんだこれは。カブか何かか。まったく得体のしれないエンジンです。


取り回しはR1200RTより明らかに軽い。車重が10kg増しにもかかわらず、止まっているときも走り出してからも「軽くなった」という感覚があります。かつてに乗っていた時を思い出すほどに。センタースタンドも異様なほどに軽く上げられます。ただ車体を左右に大きく傾けたときには絶対的な車重が容赦なくのしかかってきますので、そこだけは忘れないようにしなければなりません。

世間一般であまり触れられていないことですが、ギア比を計算してみると低速側の減速比がだいたい1割ほど大きくなっています。同じ回転数ならR1200RTよりR1250RTの方が速度が遅い。排気量が増えた分だけトルクに余裕があるので回転数を下げられる。実際アイドリング回転数は200rpmほど下がっています。おまけにクラッチ形式の違いと電子制御で多少の乱雑な扱いは難なくいなしてしまう。これが重量を感じさせない扱いやすさの正体なのだろうと考えています。


その他の大きな違いはメーター回りの見た目と操作方法が結構変わったことぐらいで、乗車姿勢だとか高速走行中の乗り心地だとか防風性能だとかの「走りの性能」自体は前のR1200RTとほとんど違いません。本当に発進時のエンジン音が電気モーターっぽいことぐらいしか違わないように思います。


納車の翌日、なんとなく走っていたら走行距離が1000kmを超えていました。納車翌日に1000km走ったことなんて今までありません。帰ってから燃費を計算してみると、510kmの区間で21リットル給油、リッターあたり24.3km。区間の半分ぐらいは一般道です。これは「燃費がいいので乗り換えを渋っていた」はずのR1200RTでも中々出せなかった数字です。翌日すなわち昨日の月曜日は普通に仕事していました。まったく恐るべし独逸人。

総括するには早いけれど総括するしかないのか

R1200RTから乗り換えてみて、キーレスになった違和感とかナビやオーディオの操作が変わったのがまだ覚えきれていないとかの他に、今のところ悪い部分が見当たりません。メンテナンスサイクルが長くなりプラグ本数も半分になったとかで維持費はだいぶん安上がりになるはずですし。本当だったらいいな…

年齢的体力的経済的に、また内燃機関の終わりが見えている時代にあって、このR1250RTは自分にとって最後の大型バイクになるとは思いますが、せめてその車両価格の1/3ぐらいは味わい尽くしてみたいものだと思います。とりあえずは目指せ10万キロと控え目な目標を掲げておきましょうか。

トップケースとかステップダウンキットとか、前のR1200RTに付けていたオプションはコイツにもだいたい付けてしまったので、カスタマイズの余地はもうありません。このインプレッションの他に何か書くことがあるとも思えませんし、次は想定外の大物部品が壊れた時か、諸般の事情で手放す時でしょうか。その時が少しでも先になることを切に望みます。



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