さよなら、赤猫(1)

2003/12/21
さようなら、赤猫。
ありがとう、赤猫。

なぜ僕は赤猫までも捨てるのか

BMW R1100RS(以下、RS)。このバイクは僕のバイクライフを根底からひっくり返してしまった。もう最高速はいらない。もう風を切る前傾姿勢はいらない。荷物をいくらでも積めるパニアケースはもはやなくてはならない必需品となった。そして猫の存在意義が消滅してしまった。
RSでは困る領域がたった一つ残った。それが「街乗り」。猫はこの領分を割とうまくこなしていたかに見えたが、やはりスーパースポーツ崩れの素顔が顔を覗かせて困ることが多々あった。具体的には「つい追い越しをしたくなる」「ついスピードを出したくなる」「ついコーナーを攻めたくなる」という衝動を抑えるのにかなりの精神的労力を必要とすることだ。疲れきった僕はついに安価なオフロード車に乗り換えることを決意した。

1年10ヶ月で3万3千キロ。普通の人にとっては「走りすぎ」と思える距離らしいが、僕にとっては全然走り足りない距離だ。しかし今年の4月に黒猫を捨てた時点で赤猫の運命は既に決していた。もうYZF600Rという車種には未練がない。むしろ所有することが負担に感じる。いかに小型・軽量の高性能バイクとはいえ、法律的には大型二輪であり、2年に1度の車検が必要となる。税金もかかる。問題は赤猫の代わりを務めるべき街乗りバイクの選定にあった。それが今日、決定した。
正式な話は赤猫の下取り価格を交渉した後に決まるが、もう僕の頭の中では赤猫がいくらで引き取られようと構わない。下取り価格が付くなら御の字、僕のバイクライフの中で初めての快挙となる。行きつけのバイク屋の店長さんは「最低でも5万」と言ってくれた。その気持だけで十分だ。
新しいバイクはホンダのSL230という中古のオフロードバイクになりそうな雰囲気。そもそも「ホンダとカワサキはダメ」と云い続けていた僕がホンダ車に乗ろうと思ったのも、RSでヤマハと決別したことと無縁ではないように思う。RZ、TZR、YZFとヤマハ車ばかり乗り継いできた僕が、バイク歴10年目にして大きな転機を迎えようとしている。

今年が終わるまであと2週間を切った。それまでにはすべてが決着するだろう。

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