ツーリングレポート・1999年夏(1)

往路(1):川崎−名古屋−鈴鹿−奈良−大坂−神戸−岡山−米子−安来−広瀬
1999/08/10〜1999/08/11   581.9mile(931.04km)


1999/08/10 21:00 12204.7

@川崎市

仕事から帰って荷造りを終えた。出発。高速を出来るだけ使わないでひたすら西へ向かう。果たしてどこまでもつか?
今回は「帰省」という、珍しく目的のあるツーリングだが、予定などない。地図も荷物の中には入れなかった。中国地方の道は多分体が覚えている。
天気は曇り、西へ行けば雨になるのは間違いなかろう。それでも「中国地方の週間予報では広島は今週ずっと晴れ」、これだけを信じて走り出す。

1999/08/10 22:30 12249.8

@箱根新道料金所

横浜新道、新湘南バイパス、西湘バイパスと短い有料道路を乗り継いで箱根新道の入口まで到着。予想以上に時間が掛かる。
電光掲示板には「キリ注意」の文字。かなり肌寒いが雨よりはまし。

1999/08/10 23:50 12286.8

@道の駅 富士

箱根は新道料金所を過ぎるとすぐに雨になった。合羽を着るか着ないか、判断に迷う状況だったが、そのまま着ないで峠越えを敢行。一般道との合流地点の少し前から霧が出てきた。そしてそのまま濃霧に。下りは死ぬかと思った。
沼津市内に入ってもパラパラと雨が降る。富士の「道の駅」ではまだ小降りだったが、念のため合羽を着ることにした。

1999/08/11 01:00 12312.7

@ドライブレストラン「東海道」

由比ヶ浜から静清バイパスを抜けるまで、ずっと雨だった。富士で合羽を着て正解だった。雨で視界も定まらず、ハイドロプレーニング現象が心配になりそうな状況下をひたすら飛ばす。
チェーンに給油し、レストランに入った。遅すぎる夕食というか、夜食をとる。焼肉定食850円也。

1999/08/11 03:55 12390.8

@オートレストラン「ウーホー赤坂店」

静岡県内を通過する間、ずっと雨。グローブはビショビショ。
国道一号線には短い有料道路がいくつかあるが、夜間は無料になる。YSP店の社長さんから聞いて知ってはいたが、実際に通過するのは初めてだった。無意識に一時停止しそうになり、慌てる。
先ほど食事を取ったこともあってかなり眠かったが、何とか音羽・蒲郡IC手前のドライブインまでたどり着いた。コーヒー1杯を飲み、しばらく体の筋を伸ばしているうちに居眠りしていた。店員に「寝るのは勘弁して」といわれてやむなく外へ出る。空を眺めると何となく明るいが、依然、雨交じり。それでも走り出す。

1999/08/11 12:15 12585.5

@阪神高速「京橋PA」

名古屋市内に入った頃にはすっかり明るくなっていた。名古屋高速と出会う辺りで道に迷う。名古屋という街は、来るたびにどこかで迷っている。相性が悪いのか、僕自身の学習能力がないのか。地図を持ってきていないのは論外として。
鈴鹿を越えるか、関ヶ原を越えるかで少し考えたが、関ヶ原方面に向かうと名神に乗ってしまいそうな気がしてそのまま国道1号線で鈴鹿に向かった。依然として雨。鈴鹿市内に入ったところで雲行きがますます怪しくなった。一旦市内に出てコンビニで朝食ついでに117に電話してみる。降水確率50%。どう考えても雨は避けられそうにない。それならば名阪国道で一気に大阪を目指すことに。
鈴鹿から名阪国道に出るまでまたもや迷い、1時間ほど無駄に走り回った後にようやく亀山に到着。名阪国道はいつぞや紀伊半島を一周して以来、しかし逆向きは今回が始めて。とにかくひたすら飛ばした。ところが電光掲示板には無情にも、「針IC〜天理IC間通行止め」の表示が。大雨のせいだ。進むにつれて大渋滞に。車の隙間を縫ってとりあえず一般道に出たものの、どうしていいのか皆目見当がつかない。と、その時、目の前を走っていた奈良ナンバーの車が不意に裏道と思しき細道に向かった。こいつは奈良に抜ける道を知ってる!直感だった。その車の後をついていくと、やがて山道に入った。所々の路面は小さな川と化している。そんな状況下、どうにか奈良市内に抜けることが出来た。ラッキーだった。
第二阪奈道路という有料道路に乗り、とりあえずは大坂を目指す。なんとか近畿道まで出て、そこから名神・中国道に出られれば...と思ったのだが、阪神高速に入った途端の大渋滞で身動きが取れず、いつのまにか環状線に突入していた。これはまずい!まったく道を知らない!とはいえ「環状線」というくらいだから、先ほどの近畿道分岐点まで戻ることは出来るだろうというとんでもないことを考えながら先へ先へと進んだ。そのうちに「神戸」の文字を見つけた。そうだ。瀬戸大橋への道に出られる!GW中の記憶が突然蘇った。案内標識の「神戸」の文字を探しながら、強引な車線変更を繰り返す。渋滞、また渋滞。水温がどんどん上昇する。ガソリン残量も心配になる。それでも走るしかない。
ようやくPAにたどり着いたのはもう昼過ぎだった。雨はすっかり上がり、夏の陽が雨合羽を羽織った身に容赦なく照りつける。合羽を脱ぎ、濡れた靴と靴下を乾かす間、つかの間の仮眠をむさぼっていた。

1999/08/11 13:35 12613.6

@山陽自動車道「三木SA」

阪神高速から何とか山陽道に脱出できた。スタートして、もはや400マイル超過。眠い。高速道路が辛い。どこかで下りて寝たい。それでも走っている最中は時速80マイル以上でふっ飛ばしていた。それで余計に疲れが溜まる。悪循環。どこかで断ち切らなければ。

1999/08/11 17:20 12751.6

@米子自動車道「ひるぜん高原SA」

岡山ICで山陽道を下りた。もう体力・気力の限界。どこかで寝なければ。そう思って高速を下りたはずなのに、空いた道路に魅せられてどんどん山奥に向かっていく。津山方面から勝山・落合へ。川沿いの道路を非常識なスピードで飛ばしていた。学生時分、おそらく何度かは自転車で通った道のはずだったが、何も思い出せない。それが悲しくて、余計に頭が冴えてしまったのかもしれない。
落合で中国道に入り、さらに米子道へ。数年前、関金温泉に入った時以来の米子道。今回は米子まで走るつもり。地方の高速道路にありがちな、片側1車線の対面通行が延々と続く。時折現れる追い越し車線で吹っ切れたようにアクセルを開け、今し方前を走っていた車をミラーの彼方に追いやる。
「ひるぜん高原」という懐かしい響きのSAで少しばかりの仮眠を取る。それにしても今夜はどこで泊まろうか?

1999/08/11 19:50 12796.6

@島根県広瀬町「さぎのゆ温泉」...付近の河原

米子から「山陰自動車道」なる有料道路を通って松江まで行けるのかと思いきや、安来付近までの途中開通だった。松江市内に泊まるあてがあるわけではない。日も暮れかかってきた。さて、どうしよう?と、その時突然ひらめいたのが広瀬町だった。月山戸田城下に広い駐車場があったはず。そこでテントを張るべえ。と思ったが、「さぎのゆ温泉」の看板に引かれて遥か手前で温泉街に入った。とはいえ旅館が3軒ほどあるだけ。
旅館を過ぎて川のほとりに見慣れない公園があった。僕が学生のころにはなかったはず。どうやら温泉の源泉らしい。しばらく休んでいると、地元の人たちが軽トラに大きなポリタンクを積んでやってきた。眺めていると、消防のホースのようなものから水を汲み始めた。いや、温泉だ。
少し話を聞いてみたところ、5年くらい前に発見された、まだ新しい源泉だそうで、地元の人たちが風呂に使っているとのこと。「...だけん毎日が温泉よ」という言葉に「うらやましい」としか返せない。本当に羨ましい限りだ。泉温は51度。熱い。今の季節だと、だいたい今ごろの時間に浴漕に入れておいても、朝にまだ丁度いいくらいの温度だそうだ。僕が「うらやましいですねぇ」を連発していたら、「その川向こうの[夢ランド]ってとこで風呂入れるよ」と教えてもらった。喜び勇んでいってみたのだが、「本日定休日」だそうで、まったく間の悪い。
温泉から数キロ離れた市街地でガソリン補給。スタンドのおばちゃんは親切にも「あの旅館でお風呂入れてもらえるよ」と教えてくれたが、もうその気力はなかった。その近くのコンビニでビールを買い、隣のスーパーで晩飯を買って、先ほどの河原に戻った。もう日が暮れて、夕闇が迫る時間。大慌てでランタンを取り出してテントを張った。風通しの悪いテントの中、汗だくでビールを飲みながら今までの道のりを振り返ろうとするが、地図を持ってきていないので振り返りようがない。明日はどうしようかと決めるまもなく眠りに落ちていた。

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