2003年秋の一人旅

3日目・島原〜熊本〜阿蘇〜長湯温泉

3日目

10月18日(土)

午前6時台にチェックアウトを済ませ、港に向かった。この日はフェリーで熊本に渡り、阿蘇へ行く。この旅の最大の目的が待っていた。港につくと既に車が数台並んでいた。バイクが2台いた。その後ろに自分も並び、切符売り場へ急ぐ。
午前7時10分発の便があるようだったが、まだ切符売り場が開いていない。数分後に売り場が開いたので一番乗りで切符を買い、またバイクのところに戻った。
熊本行きフェリーの切符 熊本行きフェリーの切符。買うのに口頭での申請だけで、もしかしたらRSを原付の値段で載せることができたかも...
バイクでフェリーに乗るのは久し振りのことだったので少々緊張したが、難なく船内のバイク置き場に到着。客室フロアのデッキから港を見ると雲仙が良く見えた。そこで写真をパチリ。ところが船が港を離れるに従って、先ほど写した山の後方に普賢岳が顔を覗かせはじめた。おやおや、こっちの方がいいアングルだ。パチリ。船が進むに連れて普賢岳の高さが増していく。またパチリ...下の写真はそんな中の1枚だ。
手元のGPSレシーバで船の速度をチェックする。時速22〜25キロ。思ったより速い。そしてきっかり1時間後、船は何事もなく熊本港に到着した。
フェリーから雲仙普賢岳を望む フェリーから眺める雲仙。奥に見えるのが普賢岳で、船が港に泊まっている時には手前の山に隠れて見えなかった。
下船してびっくり。港の施設の他に建物が見当たらない。広大な埋立地と思しき中、港だけがある。そして市街地に向かって片側2車線のきれいな道路が1本、真っ直ぐに伸びていた。われ先に飛ばしてゆく車に混じって、僕もひたすら何もない道を進んでゆく。阿蘇はまだ見えない。
国道57号線をそのまま進めば阿蘇に着くはずだったが、「大観峰」という案内標識を見て進路を北回りの県道に変更。道路はどんどん高度を上げていき、いつのまにかススキ野原が一面に広がる異世界となっていた。
「かぶと岩展望台」で一休み。外輪山に囲まれたカルデラ盆地上の町並みと道路が、小さな小さな点と線に見える。まさに異世界。頭の中に何度もその言葉が渦巻いていた。遠くに気球が2つ、ふわりと浮かんでいるのが見えた。気持ちよさそうだった。
かぶと岩展望台の駐車場にて
大観峰は車がいっぱいだった。駐車場の一角に隠れるようにバイクを止め、展望台の方へ歩いていったらバイク専用の駐輪場がその先にあった。しまった、百数十メートル損した。でも駐輪場はバイクでいっぱいだった。そういえば今日は土曜日だった。
阿蘇五岳の案内図 大観峰展望台にあった阿蘇五岳の案内図。
大観峰 大観峰から見下ろす下界。箱庭という言葉がぴったりくる風景だった。
ひととおり山上からの景色を楽しんだ後、今度は次の目的地、草千里に向かった。手元の地図には有料道路が記されていたので、それを目印にして進んでゆく。ところが行けども行けども有料道路が見当たらない。熊本方面を外輪山の橋まで戻ったところで「阿蘇山上」という案内標識を見つけた。これなのか? 不安を隠せないまま、県外ナンバーの車について坂道を上ってゆくと観光バスに追いついた。坂を登りきったところに駐車場があり、そこに止めてしばらく歩いてみることにした。数歩歩いて道路の反対側を眺めると、そこが草千里だった。
草千里と噴煙を上げる中岳
イオウの塊を「鼠・ダニ避け」として売っている駐車場から草千里へ下りる道をたどると、大きな駐車場とレストハウスに出た。こちらが本当の草千里の駐車場だったらしかった。しかし駐車場入り口に料金所が見えた。有料だ。元々、有料道路だったはずだが駐車場だけ有料になっているようだった。
レストハウスで昼食。「カツ火山カレー」とか「カルデラカレー」といった阿蘇の山容を模したメニューではなく、ありふれた「から揚げ定食」を注文。それでも脂身の少ない鶏肉が旨かった。隣接する「火山博物館」に入場したが、普段から水族館や博物館に行くことの多い僕にとって目新しいものはあまりなく、30分もたたずに退場した。
阿蘇烏帽子岳(だと思う)をバックに 写真を撮った位置から考えるに、多分、「烏帽子岳」だと思う。クリックすると大きな画像が見れます。
阿蘇を後にしたら宿を探さなければならない。距離的には別府や湯布院が近そうだったが、土曜日だから当日の飛び入りは無理かもしれない。そんなことを考えながら走っていると、「日本一の炭酸泉 長湯温泉 旅館中村屋」という看板が目に入った。長湯温泉? 聞いた事もない。全国版の地図には一応載っていたが、大きな温泉街ではなさそうだ。とりあえず行ってみるか。
山道を抜け、長湯温泉到着。街の入り口にB&G財団の施設があり、その端っこに長湯温泉の案内板があった。小さいと思っていたが旅館が十数軒、公衆浴場も町営・私営含めておなじくらいの数がある。島原よりもよっぽど温泉街してると思った。その案内標識を頼りに「中村屋」に到着。運良く部屋を取ることが出来た。
早速、風呂に入った。「含鉄炭酸泉」という泉質だそうで、露天風呂の湯船は赤っぽく濁っている。その湯船に浸かっていると、確かに炭酸ガスが豊富らしく、湯面近くでは息苦しさを感じた。僕が浸かっている間、地元の人らしい二人連れが出入りしただけの静かな入浴だった。
夕食は他の部屋に泊まっている方と一緒に広間で取った。大分から来たという50代に見えるご夫婦や、地元近くのお爺さんお婆さん4人組たちと、お話をしたりお酒をもらったりしながらの夕食。気持ちのいい晩だった。

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