2003年秋の一人旅

5日目・広島〜米子〜鳥取〜岩井温泉

5日目

10月20日(月)

朝、起き出したら弟はもう出勤していた。そうだ、今日は平日。普通の人は働きに出る日だ。朝食後、父の出勤を見送って出発の準備を済ませ、9時頃に自分も出発した。前日まではこの日にトヨタ国へ帰るつもりだったのだが、天気がよさそうだったので山陰を回ることにした。
かつて学生時代に自転車で松江〜広島間を何度か往復した国道54号線を北上してゆく。時々、コンビニでコーヒーを飲んだり雑誌を立ち読みしたりして休憩を入れながら、車の流れに合わせてノンビリと北へ向かってゆく。
広島市内 可部町内にて この写真を撮る直前、ハーレーに乗っているというトラックの運転手さんと談笑。燃費がどうのこうのという、とりとめのない話で盛り上がりました。
三次市街地を過ぎた辺りの道の駅で昼食をとった。「舞茸そば」なるメニューだったが、キノコ(マイタケ)の天ぷらそばだった。平日のせいか、食堂は閑散としたものだった。
赤名峠の長いトンネルを越えて島根県に入った。途中、何度か工事中で片側交互通行の箇所があったが、交通量が少ないので待ち時間が短いのはありがたいことだった。
三刀屋に到着。松江道がここから延びているらしいのでインターに向かった。通行券を受け取ろうとすると、料金所のおじいさんは「どこまで行くの?」と訊いてきた。なんと、行き先を先に告げる前払いのシステムだった。伊豆スカイラインみたいだなと一瞬思ったが、全国版しかも3年前の地図には載っていない道路の行き先などわかるはずもない。松江道だから松江まではいけるんだろう。そうおもって「とりあえず松江まで」と告げると、料金と引き換えに小さな紙片を渡された。出口券だ。券面を読むと、「松江玉造料金所の機械に挿入せよ」の旨が書かれていた。
しまったな、もしかしたら米子あたりまで続いていたのかも知れなかったのに...と後悔しながら進んでいたが、結局、その「松江玉造」が終点で、その先は一般道だった。
松江道から眺める宍道湖
松江道から米子を抜けるまで、山陰道を一部有料区間を交えて足早に駆け抜けた。大山町の国道9号線沿いにあるパーキングエリアでほっと一息つくと、日本海と美保関がうっすらと見えた。松江の町並みも中海も見ないであっという間に通り過ぎてしまったことを、今さらながらに少し後悔するも仕方がない。
国道9号線から遠く美保関を望む
今年の大型連休でも通った鳥取県の日本海に沿って走る国道9号線。道端の景色のあちらこちらに見覚えがある。そんな中、見覚えがない道の駅があったので立ち寄った。「ポート赤碕」。いつ出来たのだろう。いや、春に通った時に見過ごして記憶になかっただけのようだ。みやげ物売り場と鮮魚コーナーと、コンビニまである。コンビニで缶コーヒーを1本買って、飲み終わるまでしばらくの休憩。そろそろ疲労が顔を覗かせ始めていることに、ようやく気がついたのはこのあたりだった。
道の駅 ポート赤碕 道の駅「ポート赤碕」。どこか垢抜けた、お洒落な建物が印象的でした。
みやげに鮮魚コーナーもあったけど、さすがに生魚は持って帰れないよね。
日本海がよく見えました 同じく「ポート赤碕」の駐車場から眺める日本海。鳥取県の海岸沿いから隠岐は見えません。閑散とした海景色。
鳥取市内を足早に通過。本日のお宿は決めていた。去年の大型連休で立ち寄った岩井温泉。国道9号線を鳥取市内から京都方面へ十数キロ行ったところにある静かな温泉街である。前回立ち寄った時は、公衆浴場に入った後に近くの公園でテントを張って泊まったのだが、今回は旅館に泊まろうと決めている。
早速、温泉街の中心部にやってきた。いきなり雰囲気が違う。あのオンボロの公衆浴場がない。公衆浴場っぽい建物はあるのだが、つい最近出来たという雰囲気だった。
温泉街の案内板があったので旅館をさがし、それらしい建物の前をうろついていると、品のいいおじさんに声をかけられた。僕が宿を探しているというと、何とその旅館のご主人だった。さっそく駐車場に案内してもらい、屋根の下にあるご自分の車をわざわざ動かしてもらってバイクを止めさせてくれた。料金の方は2食付きで1万3千円。これまで泊まった中で一番高いが、確かに立派な旅館だった。予算的には問題なかったので即OKした。これが温泉旅館「花屋」さんだった。
岩井温泉到着 岩井温泉の中心部にある案内板。小さな温泉街です。去年までこの場所にはオンボロの公衆浴場があったのですが、年末に立て替えられたとのこと。
温泉旅館「花屋」さんの庭 温泉旅館「花屋」さんの「萩の間」から眺めたお庭。いかにも「くつろいでください」という雰囲気で、いい感じでした。
「花屋」さんの情報はいなば温泉郷ネットの岩井温泉の宿泊施設一覧からどうぞ。
部屋に案内されると、窓の外に庭が見えた。女将さんは「ここは食事が自慢で...」と話していたが、出された食事は確かに豪勢だった。特に米が旨く、自分では食べきれないと思っていた量のご飯をあっという間に平らげてしまった。
食後しばらくして温泉に入ったが、窓が開けっ放しで寒いの何の...と思ったら、外に露天風呂があった。内湯で露天風呂付きじゃあ、あの値段するわけだ。そんなことを考えながら、薄明かりの露天風呂に浸かって星を眺めていた。

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