事故報告

2002/12/30

11月の16日、赤猫で単独事故を起こしてしまいました。場所は設楽町から足助町に向かう県道33号線、山のど真ん中でした。しばらく意識を失っていたらしく、気がついたときには2人のライダーに抱えられて道の脇に移動しているところでした。目の前にある赤猫は右側のカウルがかなり破損、ステップも千切れていました。ぼうっとしている僕の前に現れたるは救急車。そのまま足助町の病院に搬送され、検査の結果は右手小指の手根骨骨折でした。いわゆる「ボクサー骨折」といい、やたら硬いものをゲンコツで殴ったときに起こりがちな骨折だそうです。あとは右ヒザに少し深めの傷があったので数針縫った程度で、その日の夕方にはバス・電車を乗り継いで帰宅するほど元気ではありました。しかし僕にとって初めての、自走して帰れなかった事故となってしまいました。バイクに乗り始めて9年目、27万キロを走り続けて初めて味わう屈辱でした。

翌日には設楽町の警察署に連絡して事故現場を確認し、バイク屋さんに回収を頼んで一通りの事故処理を終えました。その後は1〜2週間に1回程度の通院で手の怪我もほぼ回復しましたが、問題のその瞬間が、今にいたるまでどうしても思い出せません。人は限度以上の恐怖を感じたとき、無意識にその記憶を消去してしまう...などの話は聞いたことがありますが、怪我が治って初めてバイクに乗った時も、恐怖感は微塵も感じませんでした。コーナーも今まで通りに飛び込んでゆける。高速道路も今まで通りに吹っ飛んでゆける。いったい何故、僕は転倒したのだろうか? 何度思い起こしても、その場所は普通の右コーナーで、しかも当日は意識して飛ばさなかった覚えさえある。居眠りしていたのか? という可能性すら否定できない、ミステリアスな事件でした。

年末も押し迫ったある日、ついに問題の現場を訪れることにしました。何も原因がないのにコケるはずがない。覚えてない、なんて論外も甚だしい。原因究明が出来なければ今後の予防もできやしない、何か問題があったからコケたハズなのだ。その一念でした。以下はその現場検証の模様をお伝えします。

現場手前数キロの地点でバイクを止め、歩いて向かうことにした。そのわけは... 現場手前数キロで下車
雪でした!
馬っ鹿野郎、こんなとこ走ったらまたコケるじゃんかよ〜〜〜〜!

ちなみに写真中央右の路肩(林道の入り口で、Uターンできるスペースがあった)まで走っていって諦めました。
雪だ〜!
確かあの場所には橋があった。果たしてカーブを幾度か曲がったところに橋が現れた。でも、何となく違う気がする...
それでもっと上を目指す。

わかりづらいでしょうけど、実はかなりの上り坂です。
ここじゃないです
冬の陽気に照らされて輝いていた、赤いプラスチック片。
これは...?
こっ...これは?!
そうです。ここがその現場です。

この写真の、丁度カメラを構えた僕の足元辺りに上の「かけら」は落ちていました。

僕を助けてくれたライダーさんたちは、重たい赤猫をあの橋の向こう側まで押し歩いてくれていたのでした。

ここでした。
GPSで位置確認。これが噂のハンディGPSレシーバーです。

北緯35度07分42秒。
東経137度30分07秒。

上の大きなかけらも、先ほどのちいさなかけらの数メートル先に落ちていたものです。

帰宅後、データを地図ソフトに読み込ませてみたのですが...


遺留品...


VAIO君付属の地図ソフトに読ませたら、こんなんなりました。GPS君は高度ゼロメートルで緯度経度を計算するので、高いところだと誤差が大きくなります(多分)。
現場付近地図



曲がり角部分を絵に書いたらこんな感じ。
現場の詳細図



寒風吹きすさぶ中、現場付近を行ったり来たりしていろいろ調べてみましたが、コレといった原因を発見することはできませんでした。強いてあげれば、
いい気持ちでフルバンクしてる最中に、減っていたフロントタイヤがイキナリ滑ってそのままコケて頭を打った
といったところでしょうか。それにしても納得いきません。コケるのは仕方ないとしても、骨折して気絶するほど飛ばしていた、とはどうしても思えない。

あまりにも納得いかないので、時々こう思います。多分、神様ってのはホントにいて、時々暴走気味の僕に腹を立てて「お前、ちっとばかし寝とけ!」とばかりに見えざる手で赤猫をつまんで放り投げたんじゃないか、と。


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