インプレッション2・慣らし走行
千住大橋、千住新橋と大きな橋を渡り、都内を抜けて埼玉県は草加市内に差し掛かったところで案の定、渋滞していました。渋滞を体験することが目的(?)だったので、すり抜けもしないでそのまま車の中に埋没します。そして足の付き方も覚えたところでポジションの楽さ加減を再認識します。
ハンドルに両手を置いたまま、首を上げないで前を見ることが出来る!
普通のバイクに乗っている普通の人にとっては、至極普通のことなんでしょうけど、僕にとっては新鮮そのものでした。中免を取って最初に乗ったRZもハンドル位置が高かったけど、タンクが長めで意外とハンドルが遠い。上半身を前に倒すと、タンクの後端が下腹に当たる。ところがこいつ=キャットはタンク後端が滑らかにカーブしていて、下腹と干渉しないんです。
走っているよりも止まっている時間の方が長くなってきたかな、と思った時、突然エンジンからブオーンと異音がしましたが、すぐにラジエターの冷却ファンだと気が付きました(ファンが付いているとは知らなかった...)。水温計を見やると、100度をとっくに越えていました。この水温計は、50度から100度まで温度が目盛ってあります。それはともかく、たったこれだけの渋滞で、しかもこの季節でファンが回るなんて。こりゃあ夏場は大変だな。早起きしてさっさと都内を脱出しなけりゃ。
草加市内を抜けて、越谷から旧国道で春日部市内を通過する際、またもや渋滞。道路標識の付け替えらしく、片側交互通行になっていました。そしてまたもや冷却ファンが。別段問題があるわけじゃないのは承知しているのですが、TZRの大渋滞にもびくともしない大型ラジエターが当たり前だと思っていた僕は感覚的に納得できない。馬力が倍以上出てるからしょうがないんでしょうけどね。オイルクーラーを兼ねているらしいから、余計に水温が上がりやすいのかも。
茨城県境の利根川大橋を渡らないでそのまま直進し、羽生市方面へ向かいます。道はすっかり空いていて、ようやくスピードメーターが役に立つようになります。メーターの針が50辺りを指している。マイルメーターだから、えーと...内側に小さくキロ表示もあるのですが、薄暗くなってくるとあまり役に立たない。昼間でもわざわざ目を凝らして読まなきゃだめだから、結局は車検を通すための気休めかもしれません。
キロ−マイル早見表)
km mile
40
25
50
31.25
60
37.5
70
43.75
80
50
100
62.5
120
75
このくらいは掛け算の九九と同じように暗記しておく必要がありそうです。メーターを交換するとか、ガラス盤の上に何かマークするとかいう手もありますが、そこまでする気もしない。メーターだって部品代が馬鹿にならないですから。それはともかく、50ということは、1.6×50=80?! ここの制限速度はいくらだっけ...冷や汗もんです。ミラーがとても見やすいから、飛ばしてるという意識を持ってれば、後ろからの白いバイクなんかは安心。でもネズミ取りには注意。
ところでキャットのフルカウルは絶品です。まだ慣らしがはじまったばかりなのであんまり飛ばせないですが、スピードメーターが50を指している程度のスピードで走っていても、ヘルメットのチンガードより下に風がほとんどあたりません。サスペンションは固めですが、路面のギャップを拾ってどうのこうのということはまったくありません。ひとことでいうと、
 スピード感のないバイク
ということになるかと思います。これはフレームや足回りが貧弱だったRZや、のんびりと走ることを許してくれなかったTZRと比べると、別の意味で恐怖感があります。走りながら何となくそんなことを思った時、思わず背筋が寒くなりました。こりゃ危ねぇわ。自制心大事。餓鬼にゃあ乗せられん。
午後6時半頃になって栃木県佐野市に到着。駅前の「じゅん亭」というラーメン屋さんで、ラーメンではなく唐揚定食を頂きました。ここの唐揚定食は1200円もするんですが、お味の方はなかなかのもの。それは別の機会に書くとしましょう。7時頃に食事を済ませて帰途につきました。
佐野市から群馬県館林市に出て、国道122号線で都内を目指します。なんだか風が強いなぁ、と思いながら走っていると、強いどころではなくて目の前が砂で見えなくなるほどの風になりました。こりゃあ砂嵐といっても言い過ぎじゃない。横から突風が吹くと、フルカウルがここぞとばかりに災いして、真っ直ぐ走らなくなります。ふとバックミラーを見ると、後ろの車がいつのまにか相当の車間距離をおいていました。こっちも怖いけど、後ろの人も怖かったんでしょうね。
埼玉県岩槻市付近までくると、ようやく風が少し収まったようでした。東北道に沿って走る直線道路でちょっとだけアクセルを開けてみました。グロロ...というあまりはっきりしない音と共に、ゆっくりと加速していく。意外とマイルドな性格、と思ったら、いつのまにか体感以上のスピードが出ていました。追い越しも試してみましたが、50マイルからの6速での追い越しでもTZRより速いような気がします。RZやTZRの加速は後ろに引っ張られる感覚でしたが、こいつは逆に前に引っ張られる感覚がある。でっかいフルカウルのせいでしょうか。6速・4千回転弱からアクセルを開けて6千回転くらいまで引っ張っても、ヘルメットの風切り音だけが増して、速度感覚は一向に変化しません。それでもスピードは口に出来ないほど出ています。回転の上昇はTZRの方が早いですが、ギヤ比の問題なんでしょう。何せ最高速度が40〜50キロほど違いますから。
出掛けに効かないと思ったフロントブレーキも試してみました。固めのタッチのブレーキレバーをかなり力を入れて握っても、あまりフロントが沈み込みません。ところがしっかりと減速Gがあって、しっかりとスピードが落ちます。TZRだと、ブレーキレバーを握ったとたんにディスクがギューン!と唸ってフロントフォークがカツーン!と沈み込んでフロントタイヤがキュキュッ!と鳴いて、よく効くなぁというのを恐怖感という形で体感できましたが、こいつはなんだかよくわかりません。あくまでもジェントル&マイルド。でも実はとんでもない効き。周りの景色の流れ具合からして、TZRと同じか、それ以上の効きなのはわかりますが、バイクの姿勢変化が非常に少ない。とてもTZRと同じφ41mmのフォークとは思えません。バネレートからして違うんでしょうか?
ちなみにRZで同じことをやると、フロントフォークがスコーン!とボトミングして、それだけです。スピードは落ちないし、強く握るとロックする。技術の進歩というものを感じます。
タイヤはダンロップのD204というパターンです。予備知識がないこともあって、どんな性格なのか、グリップするのかしないのかこの日だけではよくわかりませんでした。パンフの写真ではミシュランの”MACADAM”を履いているようでしたが、あれはあくまでも撮影用なんでしょうか?
結局、ちょっと走るつもりが150マイルも走ってしまって、帰り着いたのは午後10時半でした。それでもクラッチのせいで左手が痛いこと、あとは久しぶりだったので両ももの内側が痛いことのほかには特に疲れは感じません。目の疲れがあまりないのは、ヘルメット下からの風の巻き込みが少ないからでしょう。まぁ、どうせ歳だから、明日・明後日にどっと反動が来るに違いないでしょう。あとは明日ガソリンを入れた時、何リットル入るかが楽しみです。
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