インプレッション3・10000マイル後
1999/08/03
現在まで10000マイル以上を走りましたが、「猫」の性格がだいたい見えてきました。 購入前、色々な雑誌やHPの写真に定規をあて、ハンドル・ステップ位置を詳細に調べた結果は無駄ではありませんでした。過激な(「気持ち悪い」という人もいた)外観とは全然違い、ライディングポジションは非常に楽で、しかし楽すぎないものです。
どのくらい楽かというと、田舎の一本道をバスなんかにふさがれて、制限速度付近でダラダラと十数キロも流さなければならない状態でも、それなりに流せてしまいます。TZRでは考えられないことでした。
楽すぎないというのは、峠にさしかかっても、上り下りともそれなりに攻めることができることです。自分のように、初心者に限りなく近い程度の腕の持ち主であっても、前後タイヤの端まで使い切ることができます。発売当初のキャッチフレーズだったらしい「YZFディメンション」は、鉄フレーム・鉄スイングアームとはいえ伊達じゃないと思います。
高速を使わなくても走行距離がつい延びてしまうのも、この両面性が原因です。遠出して、今から帰ると渋滞するなーというような時間帯に差し掛かることがよくあります。こんな時、あと100キロくらいどっか回っていくか、ちょっとあの峠を越えてみるかと思わせてくれるところがあります。
一つ難癖を付けるとすれば、ハンドル位置は本当はバー1本分ほど近づけて欲しいのですが、トップブリッジ真上まで延びるカウルのせいでどうにもならないことです。
カウル付きモデルを手に入れる際は、自分のようにハンドル・ステップ位置を入念にチェックすることをお勧めします。真横からの写真さえあれば、試乗しなくても他機種との比較で大体わかるものです。 19リットル入りのタンク(リザーブは3.1リットル)に加えて、燃費も平均で約20km/L以上をマークします。つまり1回満タンにすると300km以上余裕で走ります。普通の人の日帰りツーリングやグループツーリングには、朝満タンにすればそれでOKでしょう(自分は普通、2回の途中給油が必要になります...)。
これまでの最高は、リザーブになるまで237マイル、379kmです。この時の燃費を計算すると、23.7km/Lになりますが、高速を使わないで、空いた信号のない田舎道ばかりを選んで走っていると、平気で24〜25km/Lまで延びます。つい先日も、150マイル=240km丁度走って10L入らなかったことがありました。
好燃費のコツは、とにかく回さないことでしょう。とにかく高いギヤ、とにかく低い回転数です。低速トルクがそれなりにあるので、何とかなってしまいます。 「猫」の本性は、高速道路で明らかになります。だいたい気持ちいい、走っていると実感できる巡航速度は6速で8000rpm付近になります。
5000〜6000rpm付近までは、伏せなくても走行風がほとんど当たらず、スピード感を全然感じられません。集中力が欠けるので、ある意味では非常に危険な速度域です。後方から突然迫ってくる、趣味の悪い色をしたスポーツカーには十分な警戒が必要です。
中免ライダーだった頃、ビッグバイクに乗る人たちが高速道路をカッ飛んでいくのを見送りながら、「何を気取ってぶっ飛ばしてんだか...」と思っていたものですが、それは間違いだと気がつきました。
こういうバイクはそういうスピードで使うのが正しいわけです。普通に走っていると、自然とそういうスピードになってしまうのです。
さて気になる(?)最高速の方ですが、6速全開でスピードメーターのだいたい78%程度のようです。これはリッタークラスのそれにはもちろん遠く及びません。ラムエア装着とはいえ、この辺りは排気量と年式の差で如何ともし難いところです。「最高速命!」の方にはお勧めできません。

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